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1-0.崩落の記憶
銃声と悲鳴の中、コツコツと足音が響く。
「~♪」
足音の主は上機嫌に鼻歌を歌う。その人物は、灰色のマントを赤く染めていた。
その顔には笑みが浮かんでいるものの、瞳からは光が消えている。
「……、哀れな子犬が二匹」
ボソリと呟くと、灰色はゆっくりと一つの部屋に入る。
「……いや、モルモットか」
そこは大きなベッドが置かれた小部屋で、そこには怯えた表情をした少年少女の姿があった。
少年は部屋の入口に立つ人物を見て小さく悲鳴をあげる。
少女も似たようなもので、少年にしがみついて震える。
「君たちは運が良いね」
そんな二人の様子を楽しむように見つめながら、灰色は口を開く。
「本来ならさっさと彼に預けるべきけど……生憎まだやる事があるからね」
そう言うと灰色はくるりと踵を返す。
「……こっちの道をまっすぐ行くといい。信じるか信じないかは君たち次第だけど」
「……っ、誰が信じれるか!」
灰色の言葉に少年が叫び、剣を構える。だが、灰色はそれを気にした風もなく話を続ける。
「ここにいてもただ死ぬだけ、なら動くべきだとは思わないか?」
それだけ言うと、灰色は振り返る事なく部屋を出ていく。
残された二人は互いに目を合わせると、ゆっくりと彼が示した方へと歩き出した。
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