Side キリル「人間領の裏路地に化け物が住み着いていて住民を襲う。なんとかしてくれ」 そんな依頼が僕らのもとに届いたのは、ある秋の日だった。 その裏路地に来た僕は、依頼書を見つめる。 化物の種族も種類も、見た目さえも書いていない。 数日かけて探しているが、なんの手がかりもないまま僕は暗い...
Side XX*** 初めて意識というものを持ったとき、そこは薄暗いせかいだった。 黒い影が化物と、僕を指さして言った。 意味は分からなかったが、僕は「化物」という名がつけられた。 指をさされる意味を、僕は知らなかった。 他者と違う理由を、僕は知らなかった。...